自己破産した場合の養育費の支払い
1 自己破産しても養育費の支払義務は残る
自己破産が認められると、原則として借金などの支払義務は免除(免責)されます。
しかし、養育費は法律上「非免責債権(ひめんせきさいけん)」とされており、自己破産をしても免除されません。
2 養育費が免責されない理由
養育費はお子さんの生活や成長のために支払われるものです。
もし養育費が免除されてしまうと、お子さんの生活そのものが立ち行かなくなってしまうおそれがあります。
このため、破産法では養育費の支払い義務は保護されており、破産しても支払い続ける必要があります。
3 養育費の滞納がある場合の注意点
弁護士に自己破産の手続きを依頼した場合、その時点からすべての債権者への返済は一旦ストップします。
これは、特定の債権者だけを優先して返済すると不公平になるためで、法律上も「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として禁止されています。
偏頗弁済を行うと、裁判所が免責を認めない(免責不許可)理由となる場合もあり、また、破産管財人がその返済を取り消して回収することもあります(偏頗行為否認)。
4 養育費の滞納分も偏頗弁済の対象になる?
原則として、弁護士に自己破産を依頼した後は、滞納している養育費についても支払いをしてはいけません。
もっとも、養育費はお子さんの生活のためのものという性質から、支払額が不相当に高額でない限り、偏頗行為否認の対象とされないことが多いとされています。
したがって、自己破産手続きの際には、養育費の滞納がある場合は弁護士に必ず相談し、適切な対応をとることが重要です。
5 滞納していない分の養育費は支払い可能
一方で、毎月支払期限が到来する「当月分の養育費」については、自己破産の依頼後でも、期日どおりに支払うことは問題ありません。
養育費はお子さんの生活に直結するため、破産手続中であっても通常どおり支払いを継続すべきです。
6 養育費の滞納には厳しい対応も
近年の法改正により、養育費の未払いに対しては差し押さえなどの強制執行がしやすくなっています。
そのため、自己破産が認められた後も、養育費を滞納し続けると給与や財産が差し押さえられるおそれがあります。


















