起訴されたら前科がつくのですか?
1 起訴=前科ではない
結論から申し上げると、起訴=前科ではありません。
ただし、起訴された場合に犯罪の成立自体を争わない場合、つまり量刑を争う場合には前科がつくのが前提となります。
無罪を目指す場合も、争い方にはよるものの安易に前科がつかないと保障することはできません。
2 略式起訴の場合
前提として起訴には、略式起訴(略式請求)と公判請求があります。
この内、略式起訴は被疑者が罪を認め争わないことが条件となっているため、そこから無罪になることはほとんどの場合ありません。
ただし、略式起訴の場合には罰金刑となります。
罰金刑も刑罰であるため前科がつくことになります。
罪を争う場合には検察官からの略式起訴の打診を断る必要がありますが、その場合は後述する公判請求となるため、リスクを考えて決断する必要があります。
3 公判請求の場合
公判請求された場合には、裁判所の法廷で審理が行われます。
実際の刑事裁判では有罪を争う案件よりも、量刑を争う案件の方が多いです。
その場合は、被告人・弁護人側は有利な情状を立証するわけですが、有罪になることが前提となっているため、この場合は前科がつくのを覚悟する必要があります。
最終的に「執行猶予」がつくことがありますが、有罪判決に変わりはありません。
ただし、執行猶予期間が満了すると刑の言い渡しの効力が失われるため、法律上は前科がないという扱いになります。
しかし、有罪判決を受けたという事実、前科があったという事実は消えないため注意が必要です。
特に再犯の場合は、執行猶予期間明けであったとしても、前科の事実が不利な情状として扱われます。
次に、有罪を争う場合ですが、無罪判決となれば当然のことながら前科はつきません。
ただし、公判請求となった場合の有罪率の高さは意識せざるを得ませんし、正当防衛の成立を主張した場合には過剰防衛と認定されることを視野に入れる場合など、前科がつく可能性は考えないといけないことはあります。
4 おわりに
起訴された場合に前科がつくのかを解説してきました。
起訴にまで至った場合に前科がつかないケースは限られています。
だからこそ、捜査段階で弁護活動を行う場合は不起訴を目指すことになるともいえます。
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